2023年度の中学入試が終わりました。国語の出典はその学校が子供達に知ってほしい・理解していてほしい事がわかる大事なメッセージの一つとなります。
この記事では、2023年中学入試の国語の出典を難関女子校くくりでまとめてみました。女子校くくりで探していたら意外とその他の学校でも多数とりあげられている文庫もありました!
是非、学校からのメッセージを感じ、今後の参考にしてみてください。
2023年中学入試・国語の小説出典は?
2023年中学入試用の国語で使われた小説を学校別に見てみたいと思います。
桜蔭中学校の入試に使われた小説
- 「高橋源一郎の飛ぶ教室」 高橋源一郎
- 「ひみつの犬」 岩瀬 成子
女子学院中学校の入試に使われた小説
- 「夜、寝る前に読みたい宇宙の話」 野田 祥代
- 「他社の靴を履く」 ブレイディ みかこ
雙葉中学校の入試に使われた小説
- 「ふしぎの博物誌―動物・植物・地学の32話」内 熱帯雨林の妖怪 ラフレシア 高橋 晃
- 「わたしの先生」内 世界への扉 三宮 麻由子
豊島岡女子学園中学校の入試に使われた小説
- 「勉強する気はなぜ起こらないのか」 外山 美樹
- 「博士の長靴」 瀧羽 麻子
フェリス女学院中学校の入試に使われた小説
- 「晩夏」 井上 靖
- 「生きるための図書館」 竹内 悊
浦和明の星女子中学校の入試に使われた小説
- 「2050年の地球を予測する」 伊勢 武史
- 「タイムマシンに乗れないぼくたち」 寺地 はるな
「2050年の地球を予測する」は、大妻、巣鴨のほかに、愛知の海洋中等教育学校、滝中学校と、京都女子中学校でも採用されました。
生態学者が地球温暖化をはじめとする環境問題について、環境科学の基礎知識や環境対策の心構えなどの角度から考える本です。
こちらの小説は麻布中学校・栄東のほかに渋谷教育学園渋谷でも取り上げられたため、現在書籍が購入困難となっているようです
鴎友学園女子中学校の入試に使われた小説
- 「人それぞれがさみしい」 石田光規
2022年中学入試・国語の小説出典は?
2022年中学入試用の国語で使われた小説を学校別に見てみたいと思います。
女子御三家 国語の小説出典
桜蔭中学校の入試に使われた小説
- 「僕たちはどう生きるか 言葉と思考のエコロジカルな転回」 森田真生 著作家 2021/9/24発売
- 「そらのことばが降ってくる:保健室の俳句会」 高柳克弘 国分寺市在住の俳人 2021/9/8発売
今年度桜蔭中学校の入試に使われた小説はこちらです。
昨年度からの傾向もみると、必ずその年に発売された本が使われています。
本を読んだ感想では、こういった声がありました。
生命やコミニュティが、それとはなく循環している世界に耳を澄ませて寄り添う。自分という存在も、その環の中の一部なのだと認識することで見える世界がある。著者が未来に向けて発信したメッセージに、触れられてよかった。
女子学院中学校の入試に使われた小説
- 「色鉛筆」 インク壺所収 増田れい子 1988/11/1発売
- 「アイヌ語をフィールドワークするーことばを訪ねて」 中川裕 1995/3/1発売
「アイヌ語をフィールドワークするーことばを訪ねて」
は、調査のために古老たちの中に入っていった著者が、アイヌの人々の想いにふれ、言語学者として歩んできた道のり、アイヌ語のフィールド体験から得た様々なエピソードを綴る本です。
アイヌ語とアイヌ文化の入門書といわれています。
様々な学校で、このアイヌ民族を取り上げることがあります。それは民族の違いの中で日本人にって一番身近な存在だからでしょう。
雙葉中学校の入試に使われた小説
- 「物語ること、生きること」 上橋菜穂子
- 「菜の花の小娘」 志賀直哉
豊島岡女子中学校の入試に使われた小説
- 「値段がわかれば社会がわかるーはじめての経済学」 徳田賢二
- 「ハリネズミは月を見上げる」 あさのあつこ
徳田賢二著者の本。
この本は、私たちの社会生活において「経済」の占める場所は大きいが、そのしくみはどのようなものかというのを示した本です。
生産から消費まで、「値段」を手がかりに解き明かした経済学入門です。
続いて、あさのあつこさんのこちらの本。高校生の満足度93%という人気の本です!
同世代の高校生から熱狂的な支持を得た青春小説で、共感される内容は女の子なら一度は読んでみてもよいかもしれません!
鷗友学園女子中学校の入試に使われた小説
- 「道をたずねる」 平岡陽明 日本の小説家
- 「伝える技術はこうみがけ! 読売KODOMO新聞・読売中高生新聞の現場から」 新庄秀規/藤山純久 読売KODOMO新聞編集長
「伝える技術はこうみがけ! 読売KODOMO新聞・読売中高生新聞の現場から」 は、
デジタル全盛期の今の時代に、子ども・若者向け新聞が売れているのはなぜか。
創刊時から編集に携わる現役記者が、「わかりやすく」「面白く」伝えるにはどうするか。
目を引くキーワードを散りばめながら、現場で培ったノウハウを公開する文庫です。
小中学生はもちろんのこと、大学生、社会人が文章を書いたりプレゼンをするときに参考になる内容です!
2021年中学入試・国語の小説出典は?
2021年中学入試用の国語で使われた小説を学校別に見てみたいと思います。
女子御三家 国語の小説出典
桜蔭中学校の入試に使われた小説
- 「あしたのことば」内「あの子がにがて」 森絵都 小説家
- 「はずれものが進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密」 稲垣栄洋(いながきひでひろ) 日本の植物学者→鷗友学園・ラサール・筑波大付属でも使用!巣鴨・立教女学院で同じ著者使用!
桜蔭中学校の入試に使われた小説はこちらです。
直木賞作家の森絵都さん。なんと、2020年11月という受験ギリギリに発売された作品になります。
森絵都さんが編んだ丁寧なことばを受け取ることで、読者もまた優しい心になれる、素敵な短編集です。物語の主人公は小学生なので、子供達も共感できるのではないでしょうか?
また、稲垣栄洋(いながきひでひろ)さんは、日本の植物学者です。桜蔭以外にも、他の学校にも沢山使われている本でした!
内容を見てみて、納得でした!様々なレビューも参考になります。
私はこの本に、もっとこどもの頃に出会いたかったと思いました。
■よかったところ
「個性」は誇示しなくても、否定しなくても、そのままの自分が絶対に唯一で揺るぎない存在であるということを強く言い続けていました。
それが科学の視点である故に、よくあるまやかしのようなエールではなく、リアリティのある言葉に感じられました。
「個性」という言葉が、無理やり押し並べられた場所で奪い合う「ナンバーワン」ではなく、誰かから規定された「らしさ」でもない、別の視点を与えてくれます。
本書は子供向けに書かれた生物学の入門書。
著者は生物の生き方を通して、子供たちに個性の大切さを説き、自分らしさを見つけ出すよう勧める。
生物の世界にはナンバー1しか生きられないという鉄則があるという。
だが、環境は多種多様で、どの環境にもナンバー1が存在するのだから、最も自分らしさを発揮できるポジション(ニッチという)を見つけるのが得策というわけだ。
また、「勝者は戦い方を変えないし、変えないほうがいい。負けることは変わることにつながり、劇的な変化は常に敗者によってもたらされてきた」など、著者の主張には経営戦略論とのアナロジーが強く感じられる。
ちなみに、生物学や生態学の考え方を経営に応用する例は多く、96ページにある「ガウゼの法則」を初めて見たのはリチャード・コッチのビジネス書だった。本書には他にも経営のヒントがたくさん盛り込まれている。著者のことばを実際の経営にあてはめて考えながら読めば、ビジネスマンにとって良い頭の訓練になると思う。
大人のかたにも是非手に取っていただきたい本です。
女子学院中学校の入試に使われた小説
- 「好きになった人」内「風船スケーターの不条理」 梯久美子(かけはしくみこ) ノンフィクション作家
- 「昆虫にとってコンビニとは何か?」 高橋敬一 農学博士。カメムシ採集人。
梯久美子さんといえば戦争を描く本が多く、有名ですが、肩の力を抜いたエッセーもよいと評判です。
梯久美子さんには、重いテーマのドキュメンタリーを書く作家のイメージを持っていたが、それだけではない様々な側面を見せてくれるエッセイ集。
取材で会った方々への思いや、お茶目だったりちょっとおっちょこちょいだったりする著者の一面も垣間見れる。
読後には、梯さんのことを好きになってしまうという落着きだった。
そして、全く違うテイストの高橋敬一、農学博士の本。
昆虫にとって人間とは何か?という問いかけの本です。
「昆虫にとってコンビニとは何か?」「昆虫にとって車とは何か?」「昆虫にとって昆虫マニアとは何か?」「昆虫にとって戦争とは何か?」・・・と28のテーマに関して、著者の昆虫研究に没頭した人生の体験談を交えつつ考えていく。本書を通して考えさせられるのは、「昆虫にとって人間とは何か?」という問いである。
しかしながら、「人間が生物の世界を大きな匙で掻き回している」ことへの批判がなされると同時に、全体的に自然保護論者や昆虫採集禁止論者などに対するシニカルな認識が多々見られる。その点が、本書の問いかけるメッセージを不明確にしてしまっている気がする。確かに、日々の日常生活がどれだけ多数の昆虫を犠牲にすることで成り立っているかを認識せずに「保護!保護!」と叫ぶ自然保護論者に対する著者の批判はある程度は的を得ているのも事実である。しかし、生物界は所詮「生存競争」であり、また、人間が近代文明を享受するためには、生き残るすべのない昆虫は淘汰されるのも仕方がないという認識はどうかとも思う。
これまでの近代のあり方そのものを客観視し、再検討する必要性があるのは確かなのだから。
雙葉中学校の入試に使われた小説
- 「偶然の祝福」内「キリコさんの失敗」 小川洋子 小説家
- 「教科書の詩をよみかえす」内「紙風船 黒田三郎」川崎洋 日本の詩人・放送作家
小川洋子さんといえば、「博士の愛した数式」の著書である、有名な作家さんです。
こちらの短編集は、一人の女性の半生に起こった色々なエピソードを集めた連作短編集です。
小川洋子の本は、これで何冊目かだが、常に何か心に響く。
著者の持つ孤独と喪失感に共感するのか。
今回の短編集の中では、「キリコさんの失敗」が良かった。万年筆やリコーダーといった「モノ」とそれに関わった「ヒト」。それらを失う悲しみがよく伝わってくる。
個人的にはキリコさんの話が好きです.
キリコさんは謙虚で,それでいて私の大切なことをいつもそっと掬ってくれる.
魅力的な人だと思いました.
そんなキリコさんの話を読んだ後,ちょっと幸せな気持ちになりました.
川崎洋さんは日本の詩人、放送作家さんです。
川崎さんが色々な詩を題材に、詩の読み方や捉え方などを伝えてくれる本です。
レビューを見ていると、先生などが教本にも使えるというくらいで、現代詩が難しいと感じているかたに読んでほしい本です。
詩だけでなく、川崎洋さんの解説があるのがいいですね。
補ってくれる情報が、教科教育に助かりました。
豊島岡女子中学校の入試に使われた小説
- 「先生はえらい」内田樹 日本のフランス文学者、武道家、翻訳家
- 飛ぶ教室 第53号(2018年 春) (特集「好き」の気持ち) 雑誌内「好きって、きつい」ひこ・田中 日本の児童文学作家
内田樹さんの本は、これまた凄くタイトルに惹かれる所があります。
この本の言いたいこと、ざっくりとご本人の解説を抜粋しました。
私の「先生はえらい」論は、「えらい先生とはこれこれこういうものである」というような認知的なものではありません(そんなことを言っても何も始まりません)。
あるいは「いいから黙って先生の言うことを聞きなさい」というような政治的なものでもありません(そんなことを言っても誰も聞いちゃくれません)。
そうではなくて、「先生」というのは定義上「えらい」ものである。あなたが「えらい」と思う人、それが「先生」であるという必勝不敗の同語反復を断固主張するところの書物なのであります。私が行ったのはいわば「えらい」の構造分析です。「他者を『えらい』と思うのは、どういう心的状況、いかなる権力的付置のことか」
という分析を試みたのです。(中略)
レヴィナス、ラカン両老師のご高説をすべて「えらいの構造分析」という視点から読み直し、ついに「『先生はえらい』だって、『えらい人』のことを『先生』ていうんだもん」という必殺の同語反復に到達したというのがことの真相であります。
Amazon:著者からのコメントより
このコメントを読んで、より魅力的な本に感じました。
ひこ・田中さんの文章に関しては、本ではなく雑誌内のものとなりますので、興味があるかたはこちらの雑誌に収録されているようなので、ご参照ください
鷗友学園女子中学の入試に使われた小説
- 「アドリブ」佐藤まどか イタリア在住の日本人ライター、作家→立教新座中も引用!
- 「はずれものが進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密」稲垣栄洋→桜蔭・ラサール・筑波大付属でも使用!巣鴨・立教女学院で同じ著者引用!
佐藤まどかさんはイタリア在住の日本人作家さん。多才なかたで、プロダクトデザイナーが本業のようです。
幼少時代の家庭環境により、様々な経験をしてきた筆者が描いた小説には子供へ語り掛けるものがあります。
『アドリブ』とは、生き方のこと。
子どもたちの成長を願うと、大人は心配のあまり、
あれこれ与えたり、アドバイスしたり、レールにのせようとするかもしれない。
その結果、子どもたちは、自らを追い詰めたり、思考停止したり、
自己評価が低くなって、いびつになってしまうかもしれない。
うまくいく方がきっと珍しいし、自分で考え選んだものでなければ、やがて行き詰まるだろう。
そんな子どもたちに、生き方のひとつを、作者は音楽に重ねて伝える。
音楽の楽しさが、生きる楽しさと重なる。
美しさの追求が、生き方の探求と重なる。
とても素晴らしい説得力というか、伝え方です。
「はずれものが進化をつくる 生き物をめぐる個性の秘密」稲垣栄洋に関しては、一番はじめにもご紹介しましたが、桜蔭・ラサール・筑波大付属でも採用され、巣鴨・立教女学院で同じ著者を選んでいます。
一度是非、読んでみてはいかがでしょうか?
浦和明の星中学の入試に使われた小説
- [第1回]「はみだしの人間学 ともに生きる方法」松村圭一郎 日本の文化人類学者、岡山大学准教授
- [第1回]「朔と新」いとうみく 日本の児童文学作家→ラサールと栄光学園でも引用!
- [第2回]「お金の減らし方」森博嗣 工学博士→聖光学院で同じ著者引用!
- [第2回]「墓のお告げは樹の下で」内「マンナカ」青山美智子 著作家
ここでは、「朔と新」いとうみく→ラサールと栄光学園でも使用と、「お金の減らし方」森博嗣→聖光学院で同じ著者使用をご紹介したいと思います。
いとうみくさんは、日本の児童文学作家さんです。内容は、このような内容です。
高速バス事故で視力を失った兄 朔が、1年間の寄宿盲学校生活から帰宅したが、家族も、朔のガールフレンドも、誰にも頼りたがらない朔の態度に傷つく。
兄が失明したのは自分のせいだと思っていた弟の新は、事故以来、将来を嘱望されていた陸上を止めていた。ところが、突然朔はブラインドランニングを始めたいから伴走者になってくれと新に頼む。
朔の役に立ちたいが、走りを再開することに新は心の痛みを感じる。不幸な事故に遭いながらも、互いを思いやる気持ちを持とうと葛藤する兄弟の姿を、疾走感豊かに描く。
なかなか、考えさせられる内容です。
「お金の減らし方」は、人生とお金の使い方について解き明かしてくれる本です。
実際読んでみると、ライター自身の好きな哲学者ショーペンハウアーに考え方が近いから、好きです。
物事に対しての考え方や価値というものを子供にも学んでもらいたいと考えている保護者にとって、良書であると言えます。
お金の話というよりは、ものの本当の価値について、自分にとっての価値について考えさせてくれる本です。
森先生のズバっと切るような言い方、たまらなく快感です。
最後の一文が粋ですてきでした。
まとめ
2023年中学入試・国語の小説出典はを難関女子校でまとめました。
他の学校も使っていてかぶっている本は、同じようなことを子供達に伝えたいという先生たちのメッセージなのかと思います。
受験予定のかたは、是非参考にしてみてください!
他の記事にて中学入試の国語で出題された本を、難関男子校・神奈川御三家・にわけて紹介した記事を以前記載していますので、
これらの学校を受験されるかたは是非、以下の記事をご参照ください。
-
2023年中学入試・国語の小説出典は?難関男子校まとめ
2023年度の中学入試が終わりました。国語の出典はその学校が子供達に知ってほしい・理解していてほしい事がわかる大事なメッセージの一つとなります。 この記事では、2023年中学入試の国語の出典と2022 ...
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出典:Amazonレビュー
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